宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』考察シリーズ。
前回は寄り道をして、『千と千尋の神隠し』の考察をしました。
今回は、眞人の義理の母になった「夏子」について考察していきます。
~~~以下ネタバレありです~~~
夏子は眞人の実の母であるヒミ(ひさこ)の妹です。しかしヒミが火災で亡くなり、夏子が眞人の父勝一と再婚します。
現代の感覚からするとあり得ないことですが、昔はこういったことがよくあったようです。結婚相手が亡くなると、そのきょうだいと再婚する。私も介護の仕事をしているとき、おばあちゃんたちからこのような話をたくさん聞かされました。
夏子は勝一の子を妊娠し、眞人と一緒に暮らしますが、眞人は夏子に心を開いてくれません。それどころか眞人は騒動ばかり起こし、眞人との距離感が遠のくばかりです。
夏子は妊娠中なのも相まって、どんどん體調(たいちょう)を崩し、意識もここにあらずの状態です。
そして夏子は誰かに導かれるように、不思議の世界へと入っていきます。
なぜ夏子はこんな状態になってしまったのでしょうか。
これを解くヒントになるのが、与那嶺東雲さん著の『家系の不思議を科学する』という本です。
与那嶺さんによると、奥さんが亡くなった後すぐに後妻さんをもうけると、その瞬間に「不幸」が発生するそうです。
一体どういうことでしょうか。
実は私の母の家系がそれにあたります。
私の高祖父が高祖母を亡くしたあとすぐに後妻さんを娶ります。
すると男の子が生まれてもすぐに亡くなり、女しか生まれない家系になってしまいました。おまけに家も没落してしまいます。
祖母はそのせいで幼い頃から商いに出たりと苦労をしてしまいます。
このように、奥さんが亡くなった直後に再婚すると、「カルマ」が発生してしまうのです。前妻さんの「呪い」だと思います。
では、夏子が體調を崩したのは、前妻である姉のヒミによる呪いなのでしょうか。
しかし作品のラストでヒミと夏子が出会うとき、ヒミは夏子に向かって
「いい赤ちゃんを産みなさいね」
と笑顔で声援を送ります。
なんと、ヒミはまったく恨んでなどなかったのです。
これはいったいどういうことでしょうか。
誰が夏子に呪いをかけたのでしょうか。
そうです。夏子に呪いをかけたのは「自分」なのです。
まるで『呪術廻戦』の乙骨憂太のようにです。
そこで、これを読んでいるあなたに問いかけます。
あなたは自分を不幸だと思っていますか?
もしそう思っているなら、あなたに厳しいことを投げかけます。
「自分は不幸だ」と思い込んでいる人は、その原因を他人や環境のせいにしがちです。
しかし、そのような人のほとんどは、不幸の原因は「自分」なのです。
不幸の原因は、単に自分の努力不足であったり、自分を見つめることを怠ってきたからです。
全ては自分の怠惰が原因なのに、それを認めないで他人に責任を押し付ける。
なぜそうするかというと、その方が楽だからです。それを認めるのが辛いからです。
だから日本人は「自分は不幸だ」と思う人ばかりなのです。
カルマが発生しているなら、きちんとご先祖さまを供養し、祈りを捧げればいいのに、それすらせず、現世利益ばかり追求し、それがうまくいかないと、「自分は不幸だ」と自身に呪いをかけます。
今の日本はその呪いが溜まりに溜まり、ネガティブなエネルギーとなって崩壊へと動かしているのだと思います。
誰も夏子に呪いなどかけていませんでした。
それと同じく誰もあなたに呪いなどかけていないのです。
それでも納得できないのなら、まずご先祖さまの名前を声に出し、手を合わせてみてください。それを毎日続けたら、呪いは解けるはずです。
夏子が眞人に「お母さん」と言われ我にかえったように、あなたの體(からだ)に流れているご先祖さまの血も、我にかえるでしょう。
なぜそう言い切れるかというと、私も今まで自分に呪いをかけてきたからです。
しかし、自分の家系図を作り、ご先祖さまに感謝したことで、自身の呪いから乗り越えることができました。
そして『君たちはどう生きるか』を観たときに、このカルマの本質に氣付いたのです。
みなさんもこの視点で『君たちはどう生きるか』を鑑賞してください。
自分を見つめ直す良いきっかけになると思います。
次回に続きます。
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ありがとうございました🫶