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『君たちはどう生きるか』考察⑨高畑勲監督からの呪縛と解放、そして人類の物語

宮﨑駿監督最新作君たちはどう生きるか考察シリーズの9回目です。

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前回は、眞人の未来の姿が大伯父であり、宮﨑駿監督が言うには大伯父は高畑勲監督で、つまり眞人は高畑勲監督ではないか、と考察しました。

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私はこの作品を鑑賞してからずっと疑問に思ってました。

宮﨑監督は、この作品は自伝的作品だとおっしゃってました。しかし、宮﨑監督は1941年生まれです。この作品の時代設定を1944年とすると、このとき宮﨑監督はまだ3歳か4歳です。眞人の年齢は11歳と言う設定で、明らかにおかしいのです。

しかし、高畑勲監督は1935年生まれで、そうなると眞人の年齢に近くなります。

 

この点から、眞人は宮﨑駿監督ではなく高畑勲監督ではないかと私は考えました。しかし、高畑監督との共通点はそこだけで、他に共通する部分はありません。

 

するとやっぱり眞人は宮﨑監督なのかといえば、そう簡単にはいきません。

宮﨑監督は戦時中は宇都宮市疎開しますが、眞人は川崎市鷺沼です。

監督は戦後に母を病気で亡くしてますが、眞人の母は戦時中に火災で亡くしています。

設定がどれも微妙にズレているのです。

本当にこれは自伝的な作品なのでしょうか。

 

この問題を解決するには、そもそもスタジオジブリとはどんなアニメ制作会社なのかを理解する必要があります。

みなさんは、スタジオジブリといったら誰を思い浮かぶでしょうか?

ほとんどの人は宮崎駿監督」だと思います。

しかし、実状は違います。

スタジオジブリとは、「高畑勲監督」のものなのです。

 

このことは岡田斗司夫さんが過去にYouTube(ニコニコ?)の動画でおっしゃってたことです(かなり昔に見たので、どの動画で語っているか忘れてしまいましたが)。

これはもののけ姫以降顕著になったことですが、

スタジオジブリ宮崎駿監督が出した利益を高畑勲監督に注ぎ込むという体制だったそうです。

高畑勲監督がやりたいことを長い年月と巨額の予算で制作する。そのために宮﨑監督はヒット作を生み出さなければならない。

宮崎監督は作品を自由に作っているようで、鈴木敏夫プロデューサーのテコ入れがかなり入っていると聞きます。それは、高畑監督が自由に制作している分、宮﨑監督は絶対外せないからです。

だから、もともと『アシタカせっ記』という作品を宮崎監督に無断でもののけ姫と変更しマスコミに発表したり、千と千尋の神隠しではカオナシを登場させるように指示したり、様々な攻防があったのです。

しかし今作で宮﨑監督は、自分が作りたい作品を、制作費と制作期間を思う存分使って良いという条件で制作しました。

 

つまり、宮﨑監督はこの作品でやっと、高畑勲監督と同じ条件で制作することができたのです。高畑勲監督になれるチャンスです。

そして6年という制作期間と邦画最高額といわれる制作費をかけて、この『君たちはどう生きるか』が誕生しました。

 

では、宮﨑監督は高畑監督になったのでしょうか。

答えはNOです。

これは、眞人が大伯父の物語の継承を拒否したことに表れています。

 

彼は「戦争反対」を掲げる反戦主義です。にもかかわらず、戦争の悲劇を描くことをしません。戦時中の日本が舞台にしたにも関わらずです。

なぜ火垂るの墓のように強く「反戦を訴えられないのでしょうか。

それは、軍需工場の経営者の息子という生い立ちと、読売グループという「C◯Aの日本支部」「原発を誘致した◯◯機関」から出資されて作品を創っているという、自己矛盾がそうさせるのだと思います。その自己矛盾を包み隠さず描いたのが風立ちぬという作品です。

 

自分の好き勝手に作品を創っていいと条件を出されたとき、イデオロギーを捨て、本当に語るべきことを語ると決めた。

自分のためではなく、やはり観客のための作品を創る。

 

だから作中の設定を、宮﨑監督自身の生い立ちから微妙にズラしたのだと考えられます。そのままの設定だと監督自信の物語になり、観客にとって他人事になってしまうからです。

つまり、この物語は人類の物語であると訴えたかったため、そのような設定にしたのでしょう。

だから『君たちはどう生きるか』なのです。

これは私たちの物語なのです。

 

そして宮崎監督も生まれ変わるという意思表示として、今作で「みやざき」の「崎」「﨑」に変えたのです。

 

ではなぜ宮﨑監督は今作を「自伝的作品」とおっしゃったのでしょうか?

 

それはこの作品に隠されている「最大のタブー」が存在するのです!

次回はその「禁忌」について考察していきます!

お楽しみに!!

 

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