宮﨑駿監督作品『君たちはどう生きるか』の考察シリーズ。
前回は、主人公眞人が心を動かされた吉野源三郎氏の小説『君たちはどう生きるか』について解説してきました。
では今回は、覚醒した眞人をふしぎの世界へと導く「アオサギ」について考察していきます。
~~~以下ネタバレありです~~~
この作品に登場するアオサギは、最初眞人を挑発し、喧嘩をけしかけます。しかし、彼の正体は鼻のでかい醜い男で、とても狡猾で卑怯な男です。
しかし、眞人と冒険を共にするうちに二人は心が通じ合い、アオサギのことを憎めない存在になっていきます。
ネットではそんなアオサギのモデルは手塚治虫氏の名作『火の鳥』に登場する「猿田彦」と考察する人が多くいます。
非常にビジュアルがそっくりです。
しかし漫画家の山田玲司さんは、「アオサギのモデルは手塚治虫だ」と考察します。
宮﨑監督にとって憧れの存在であり、憎むべき存在。そんな彼との和解が眞人とアオサギで表したのです。
なるほど納得の考察です。多分これは正解だと思います。
では、なぜ宮﨑監督は手塚治虫氏を「アオサギ」で表現したのでしょうか?
それを探るためにまず「サギ」を漢字に変換しました。
すると、「鷺」という字になります。
「路(みち)」の「鳥」です。
鷺という鳥は、道そのものを表します。だから彼が道案内をするのです。
しかし、だったら白鷺でも良いはずです。なぜ鷺は「青い」のでしょう?
その答えは陰陽五行にあります。
陰陽五行では色で方角を表します。
それが下の図です。
↑画像引用元
「青」が示す方角は「東」です。
では「東」を「十二支」で表すと何の動物になるでしょう?
↑画像引用元
それは「卯」、「うさぎ」です!
つまり「青鷺」は「うさぎ」という意味です!
うさぎにも「さぎ」が入っていますし、うさぎは「1羽2羽」と数えられ、ここでも鳥と関係があるようです。
そして、うさぎが不思議の国に道案内する物語といえば、そうです。
『不思議の国のアリス』です!
この物語は『不思議の国のアリス』と同じ、異世界へ迷い込み、理不尽な出来事を体験して成長する「通過儀礼」のお話なのです。
つまり、男の子版『不思議の国のアリス』なのです(もしくは宮崎駿版『マトリックス』)。
ちなみに陰陽五行の「青」は「青龍」をあらわし、「青龍」とは「川」の例えに使われます。
宮崎作品では重要な場面で「川」が登場します。
今作でも「川」で眞人とアオサギが対峙します。
川は古来、靈力が流れる場所とされ、あの世とこの世の境目とされることもあります。「三途の川」はまさにそうです。
東京都も、東に流れる江戸川や荒川などで結界を張り、皇居を守っています。
そして「青龍」といえば『千と千尋の神隠し』の「ハク」です。彼も川の神です。
「青」を深掘りするだけでさまざまなことが繋がっていきます。
話を戻しますと、「うさぎ」であるアオサギに導かれて眞人は異世界へと迷い込みます。
ではその異世界とは、具体的に何の場所なのでしょうか?
それは「冥界」です。
この物語は、超古代から語り継がれる「冥界下り」の物語なのです。
次回はそのことについて考察していきます!
お楽しみに!
↓次回
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