前回までは宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』の考察をしてきました。
前回の考察では、「ヒミはイザナミで、イザナミは元々はサイヒメノ命である」と解説しました。「サイヒメノ命」とは古代日本人があがめていた子孫繁栄の女神です。
実は、サイヒメノ命の夫である男性神「クナトノ大神」が宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』にとても関係があるので、この機会にその考察をしていきたいと思います。
『千と千尋の神隠し』はスタジオジブリが2001年に公開した作品で、当時の興行記録を大幅に塗り替え、アメリカのアカデミー賞の長編アニメーション部門を受賞するなど、まさに超話題作で、いまだに人々に愛され続けている不朽の名作です。
私も当時、満員の劇場で鑑賞したのが懐かしいです。それ以来、DVDで何度も鑑賞するほど大好きな作品です。
その劇中に登場する「オクサレさま」。
體(からだ)はヘドロまみれで強烈な悪臭を放ち、その威力はご飯も消滅するほどです。
千はオクサレさまを湯屋の大浴場へ誘導し、薬湯でオクサレさまの汚れを洗い流します。
すると千はオクサレさまに何か刺さっていることに気づき、みんなでそれを引っこ抜きます。
するとそれは大量のゴミの山でした。
自転車やら冷蔵庫やらトイレの便座やらがオクサレさまの體からイッキに吹き出します。
ゴミが無くなったオクサレさまは綺麗な水の體となり、千に「良きかな」といい、龍となって笑いながら去っていきました。
湯婆婆は「名のある川の主だね」と言います。
一連の展開から、ゴミの不法投棄で汚れてしまった川の龍神が、オクサレさまになってしまった。だから自然を大切にしよう、と解釈しますよね。
ただ、私は綺麗になったオクサレさまの顔を見たとき、ピンと来ました。
この顔。能で使われる「翁」のお面にそっくりなのです。
画像引用元 www.city.sado.niigata.jp
富士林雅樹さん著『出雲散家の芸と大名』によりますと、能の翁の面は、クナトノ大神をモデルに作られているそうです(ちなみに能楽をつくった観阿弥・世阿弥や、歌舞伎をつくった出雲の阿国は出雲族の諜報員です)。
つまり、オクサレさまの正体は、日本に元からいた出雲族の神様「クナトノ大神」なのです。
私は以前、『もののけ姫』の「シシ神さま」の正体はクナトノ大神と考察しました。
ということは、シシ神様のその後の姿が『千と千尋の神隠し』で描かれるオクサレさまになるのです!
なんて可哀想なのでしょう。湯屋で綺麗にしてもらってよかったです。
ちなみにクナトノ大神は、日本神話ではイザナギに変えられましたが、そのほかに「大山祇(オオヤマツミ)神」と同一とされています。
大山祇神とは山の神様です。なのに湯婆婆は「川の主」と言いました。なぜでしょう。
山の神様ということは、川の源流、水源を司り、そこから川が流れます。
つまり、山の神様でもあり、川の神様でもあります。
そしてゴミの中から大量の砂金があらわれたことから、この川の主は岩手県の川からやってきたことが推測されます。
岩手県といえば、古代の蝦夷の地ですよね。そうです。アシタカヒコの村の地です。アシタカヒコも大きな砂金を持っていましたね。
実は『千と千尋の神隠し』は『もののけ姫』の後日談の物語なのです。あれから700年後の物語です。
私はこのブログで何度も書いてますが、『千と千尋の神隠し』というタイトルの本当の意味は、「千尋が神隠しにあった」という意味ではありません。「日本の本当の神様がたくさん隠されている」という意味です。
この作品が公開されて今年で23年も経ち、本当の歴史がどんどんと開示されてきてますが、まだまだ神様は隠されたままです。
そんな日本人へのダメ押しが『君たちはどう生きるか』なのかもしれません。
現在、日本の地下の動きが不穏です。その動きを少しでも鎮めるためにも、地中で動き始めている龍神様と対話しないといけないのかもしれません。
では、次回、再び『君たちはどう生きるか』の考察に戻ります!
お楽しみに!
↓千と千尋の神隠し②
<よく読まれる記事>
ありがとうございました🫶