おはようございます。くましね薫です。
前回、私たちは平成の何に熱狂したのか、考察しました。
その答えは、「大人たちへの反抗」です。
大人たちがつくった「昭和」というダサい文化へのカウンターだったのです。
前回はおおざっぱに「大人」と括りましたが、ではその「大人」とは具体的に誰のことを指すのでしょう?
それは、戦後の日本をつくった人たちです。
戦争で焼け野原になった日本を、イチから復興させた人たちです。
その人たちというのは、1945年の終戦時に20代30代だった人たちです。
京都)折り鶴で「舞鶴引き揚げの日」 [戦後75年特集] [京都府]:朝日新聞デジタル
男たちは戦場で地獄を見、女たちは日本で地獄を見ました。
暴力と飢餓に苦しめられ、徹底的なリアリストとなった彼ら・彼女ら。
そんな人たちが描いた理想こそが、戦後の日本なのです。
彼ら・彼女らが描く理想は非常にシンプルです。
おなかいっぱいご飯が食べれて、好きな学問を自由に学べられる、戦争の無い世界です。
地獄を体験した人たちが描く理想は、戦争の反動で底抜けに明るく、牧歌的です。戦後直後の歌謡曲を聴くとそれが分かります。
彼ら・彼女らは、理想を実現するために精一杯働き、たくさんの子どもを産みます。
これこそが戦後日本の世界観です。とても分かりやすいです。
最近ですと、『ゴジラ-1.0』にその様子が描かれてますね。
その様子を知れば知るほど、祖父・祖母には頭が上がりません。
しかし、彼ら・彼女らは働きすぎました。
1955年から始まった高度経済成長は、73年までの18年続きました。
終戦から30年も満たないで、世界有数の経済大国になりました。
これはつまり、最速で彼ら・彼女らの目標が達成されてしまったということです。
食べ物に苦労しないし、子どもたちは自由に勉強できるし、戦争だってない。そして目標以上に、物理的に豊かになってしまいました。
30年を経たずして目標以上の日本にしてしまいました。
まさに奇跡のような発展です。
改めて先人たちの凄さを感じます。
しかし、これは別の不幸を呼びます。
終戦からわずか30年で目標を達成してしまったので、新たに目標を立てなければなりません。
しかし、彼ら・彼女らはその新しい目標を立てることができませんでした。相変わらず古い目標を掲げ、そのままバブル経済まで突き進んでしまいます。
これが戦後日本の不幸です。
目標を失ったまま、50年以上さまよっているのが日本という国の本当の姿です。
当然、彼ら・彼女らが描いた牧歌的な理想は、若者にとってはとてつもなくダサく映るのです。
戦争を体験した世代にとっての「道徳」は、それこそ輝く理想です。
しかし、豊かな時代に生まれた若者にとっては、ただの偽善でしかありません。
だから平成になって、昭和のカルチャーは一掃されたのです。
今思えば、祖父が生きているときに、同じ価値観を共有できてたらなと残念に思います。
もっと緩やかに経済成長しておけばと残念に思いますが、戦後みんな必死に働いたので仕方がありません。
では、目標を失った日本はその後、どのような時代になるのでしょうか?
それは、若者を飼育し、商品を消費するだけの家畜に育てる、「若者殺しの時代」に突入するのです。
次回、そんな地獄の時代「平成」を考察していきます。
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