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『首』考察:そして天下を取った北野武

北野武監督最新作「首」2023年秋に全国公開「成功したと思っています」 - お笑いナタリー

 

北野武監督の作品を一言であらわすと、「自殺」です。

 

彼が描く作品の主人公は、時代の大きな流れから一歩引き、その視点から自分の死に場所を探していきます。

ビートたけし演じる主人公は、鬱々としながらときおり暴力を爆発させます。

作品全体に漂う厭世感は、楽観的な建前で動く現実世界の本音であり、その本音が私の心臓を鷲掴みにします。

 

「あんまり死ぬのが怖いとな、死にたくなっちゃうんだよ。ははははは」

ソナチネ|映画の名言|名言、集めました

名作ソナチネビートたけしが放つこのセリフこそが、彼の世界観、人生観をあらわしています。

 

しかし、北野武最新作の『首』を観て、私は驚きました。


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ビートたけし演じる豊臣秀吉は、とても好戦的で、策士で、物語を大きく動かしていくのです。今までのビートたけしとは全くの別人です。どうにか天下を取ろうと周囲に罠を仕掛け、他の大名をどんどん引き摺り下ろす、非常に計算高く狡猾な男なのです。

 

自分の死にざまのために捨て身で生きる、今までのビートたけしとは大違いなのです。

スクリーンで映し出される彼は、バラエティー番組でお馴染みの「殿」そのものなのです。

 

私は『首』を観て、アウトレイジ ビヨンド』(2012)とまさに対称的な作品だなと感じました。

暴力団の抗争に対し、「嫌だよ俺〜」とぼやきながら巻き込まれていきます。

『首』の殿はあの時のビートたけしと全く逆で、おかしくて笑ってしまいました。

 

そして『アウトレイジ ビヨンド』の物語がとても秀逸なのです。

関東と関西の暴力団の抗争を描いているのですが、最終的に関西勢に関東を乗っ取られてしまいます。

 

これは何を描いているのかというと、ダウンタウン率いる吉本興業に東京の芸能が駆逐される様を描いていると私は考えました。

 

ダウンタウンとその周囲の芸人がバラエティ番組を席巻します。

吉本興業は2001年からM-1グランプリを開催し、以降テレビのバラエティー番組はそれを主軸に動いていました。そこで活躍した芸人のほとんどは関西勢で、ダウンタウン派閥とM−1組が全国ネットの番組を牛耳っていきます。

その中心にいたのが松本人志です。

彼は2013年の『R100』で映画監督業を完全に切り、以降お笑いに全振りします。そこからの松っちゃんの勢いは、視聴者として素直に楽しませてもらいました。

 

そして『アウトレイジ ビヨンド』で描かれている展開そのままに業界が動いていて驚愕しました。これは偶然なのか計算なのか。

 

しかし『首』が公開された後、偶然にも松本人志は週刊誌の報道により表舞台から突然姿を消しました。

 

対するビートたけしは、流石にレギュラー番組は減っていくものの、何を言っても許される唯一無二の存在です。そして今回『首』では何十億という予算で時代劇超大作を撮ってしまいました。

こんなお笑い芸人は彼が最初で最後でしょう。完全に芸能人の頂点に立ちました。

 

80年代以降の芸能界の戦国時代を経て、最終的に天下統一を成し遂げたのは、

ビートたけし北野武

でした。

 

彼が演じた豊臣秀吉は、このタイミングにピッタリでした。

これも偶然だったのでしょうか。それとも「天才北野」の計算だったのでしょうか?

北野武ファンとしては、ますます目が離せません。

 

 

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