宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』考察。今回が最後の回です。
長々とこの作品を考察してきましたが、それほどこの作品は奥深い内容だということです。やはり宮﨑駿監督は天才すぎて恐ろしいと改めて氣づかされました。
宮崎監督は、この作品を「自伝的作品」と言いながら、実は観客である「私たちの物語」でもあると訴えています。
そのメッセージを、私は「すべてつながっている」と受けとりました。
現代の私たちは、自分の人生は自分だけのものだと思いがちですが、本当はそうではなく、何百年、何万年、何億年と続く「因果」の流れの中に私たちは存在しています。
しかもそれは地球だけの話ではなく、その力は宇宙規模で動いています。
自分には関係ないと思っていた大昔の出来事も、遠い星の出来事も、実は私たちに大きな影響を与えています。
もしかすると、別の次元の出来事も、私たちの生活にかなり干渉してきてるのかもしれません。
宮﨑監督は、「不思議の国」を描くことで、不条理な世界もすべて自分とつながっていると私たちに教えてくれます。
それは吉野源三郎氏の小説『君たちはどう生きるか』でコペル君が「縁起」の思想を理解したのと同じです。
私はこのメッセージを受け取ったとき、ビートたけしさんの『嘲笑』という曲の歌詞を思い出しました。
ビートたけしさんの詩を玉置浩二さんが作曲した、私の大好きな曲です。
その曲の歌詞が、まさにこの作品の世界観にぴったりなのです。
一部抜粋します。
“星を見るのが好きだ
夜空を見て 考えるのが
何より楽しい
百年前の人
千年前の人
一万年前の人
百万年前の人
いろんな人が見た星と
ぼくらが今見る星と
ほとんど変わりはない
それがうれしい”
素朴な言葉で、壮大な宇宙観を歌う名曲です。
百年前の出来事でさえ遠い昔に感じますが、夜空にうかぶ星空はほとんど変わっていません。
自分という存在がちっぽけでありながら、壮大な大河の中にいることがこの曲でわかります。
その宇宙観を悟ったときはじめて、宮﨑監督が私たちへと送った『君たちはどう生きるか』というメッセージが理解できるのではないでしょうか。
私たちの世界はこれから数年かけて、価値観がひっくり返るような出来事が立て続けて起きると予想しています(というか、もう何年も前から起きてます)。
現状維持ができない世の中になると思います。
だからこそ
「私たちはどう生きるか」
と、真剣に考えるときなのかもしれません。
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ありがとうございました🫶