前回は、茨城県にある大杉神社と大神神社、出雲族の太陽信仰の関係性について説明しました。
それでは、出雲の信仰と、「大杉」にはどのような関係があるのでしょうか?
それは、出雲族が信仰する龍蛇神信仰です。
出雲族はインドにいたときは、コブラを神として崇めていました。
日本に来てからは、海岸に漂着したセグロウミヘビを剥製にして御神体にしていました。(ちなみに神社のしめ縄は、蛇が交尾をしているところを表現したものです)
その信仰から、三輪山の樹木の根にも蛇神が住むと言われました。
なので、大杉神社にある三郎杉という大きな杉の木の根っこにも、蛇神が住んでいると思われたかもしれません。
しかも、茨城県沖では「イクチ」というウミヘビの妖怪の伝説があるので、ここでも出雲の蛇神信仰が見られます。
そして、蛇は竜と同一ととらえられ、龍神信仰へとつながります。
龍神は水神でもあるので、大杉大明神が海の神様になったと見られます。
(大杉神社の境内の写真を見ると、龍神がたくさんいます)
大杉神社には、その名の通り大きな杉の木があります。その杉の木は、航海の標識の役目もあったそうです。
実は同じことが、福島県にも存在します。
双葉町にある稲荷神社のそばには、「前田の大杉」という、樹齢1200年以上の巨大なスギの木があります。
双葉町の伝承では、請戸の港からこの大杉が見えるところで漁をすると大漁になると言われています。しかし、大杉が見えないところまで行くとその日に帰れなくなる、というものです。
相馬市の諏訪神社の伝承にも、境内にあった大きな松が航海の標識になったとあります。(現在黒木にある諏訪神社は、以前は尾浜にありました)
このことから、大杉神社の信仰は、福島県にも伝わったのだと確認できます。
その根底にあるのは、出雲の龍蛇神信仰だということです。
そして、龍神は川にも宿ると言われています。
霞ヶ浦と利根川に挟まれた大杉神社は、まさに龍神信仰の地と言えるでしょう。
今回は、出雲の龍蛇神信仰と大杉神社の関係についてみてみました。
このことから、大杉神社は出雲族の信仰であり、大杉大明神を祀る福島県浪江町の苕野神社も出雲族系の神社だと確信しました。
シネハの土地は古代の聖地説にまた一歩近づきました。
参考資料
おすすめに記事